|
チーズのシュバリエ(フランスチーズ鑑評騎士)でもある森克明シェフが、11年間、曙橋で営んでいたイタリアン【エスペリア】を、西麻布に移転したのが2005年のこと。これには、「得意のチーズ料理を、外国人の多い西麻布で披露してみたい」との思いがあったそうです。
元々はフレンチのシェフだった森シェフでしたが、そのころ勤めていた会社の社長がアメリカのレストランを視察し、これからはイタリアンだと、150席のフレンチ・レストランをイタリアンに変更。森シェフにはフレンチの基礎があったため、イタリアンになってもさほど支障はなかったのだとか。
その後、独立して【エスペリア】を曙橋にオープンしたのですが、この「エスペリア」とは、ラテン語で“イタリア”を指す言葉に由来しているだそうです。これは、当時のイタリア語の先生につけてもらったのだとか。
ちなみに、【エスペリア】は音もいいし覚えやすいのですが、その前になにやら難しそうな「クリニカ・ガストロノミカ」とついています。
「クリニカ(“診察”の意味)」というのは、飽食の時代のつぎには自分の健康を考える時代がくるだろう、これからのレストランの食材は新鮮なだけでなく、安全でなければならないという先見の明によってつけられたもの。そのとき、森シェフが読んでいたというのが有吉佐和子さんの『複合汚染』でした。
モデルとなったのは、モデナの湯治場で450年も続いている、イタリアで唯一「クリニカ」という冠を持つレストラン【クリニカ・リストランテ・アーナルド】。ここはボッリート・ミストという、6種類の肉を茹でて脂分を飛ばしたワゴン・サービスで有名なのだそうです。
【エスペリア】は、まさに健康に配慮した(クリニカ)、美味しい(ガストロノミカ)、イタリアン(エスペリア)という、店名どおりのレストランです。常連の方からは「チーズもたくさん使っているのに、サッパリしていて元気が出る」というお声も多いのだとか。
それにオープン当時の「5万リラ(4,000円)で楽しめるレストランを目指す」という、“リーズナブルさ”への思いにもこだわりを持ち続けています。
|