フランスチーズに詳しい方や、チーズをお勉強された方でしたらこの『トム・ド・サヴォワ』の名前を聞いたことがあるかもしれませんね。 こちらのチーズは、フランスの「IGP」(地理的表示保護)に認定されたチーズです。
ヨーロッパには、産地や品質を保護することを目的とした「原産地統制呼称」という制度があり、その一番上の階級が“AOP”です。「コンテ」や「カマンベール・ド・ノルマンディー」、「ロックフォール」などのお馴染みチーズがここにあたります。
その次の階級である「IGP」では、AOPほど生産上の規定は厳しくないものの、現地の人にとっても“このマークが付いていれば安心”といった、商品選びの基準にもなっているのです。
“トム”の名の付くチーズは、フランス中南部のオーベルニュ地方、南西部のピレネー地方、コルシカ島など、フランス各地でつくられていますが、その代表が『トム・ド・サヴォワ』です♪
サヴォワの地は、冬になると雪で覆われる山岳地帯です。大量のミルクを使用する大型チーズ「ボーフォール」が古くから作られてきましたが、冬季になると、40kg以上ものサイズのボーフォールを作るだけのミルクを集めることが困難でした。
そこで、各農家で作られるようになった小型のチーズが『トム・ド・サヴォワ』だったのです。 ハーブやスパイスを加えた“フレーバータイプ”や、熟成をさせないフレッシュなタイプ、ワイン用に使用したぶどうの搾りかすで漬けて熟成させたものなど、『トム・ド・サヴォワ』のタイプはさまざまです。
今回ご紹介いたしますのは、もっともポピュラーな【セミハードタイプ】ですよ♪ その味わいについてはこちらをご覧ください!
コンテにも似た、ほっくりとした栗のような味わいがありながら、熟成による旨みや、クリームソースで似たきのこのような風味など、食べるごとにさまざまな表情を見せてくれるのがこのチーズの面白いところ♪
特に、しっかりと常温に戻すと、その複雑味のある風味が存分に感じられますよ! 味わいには深みがあり、“ガツンとインパクトのあるチーズ”ではなく、山のチーズならではの穏やかな味わいです。
クセのあるチーズが苦手という方にもお召し上がりいただけるでしょう。「これまでクセのないマイルドなチーズを食べてきたけど、それとはちょっと違った一歩先のチーズが食べてみたい!」そんな方にもオススメできますね。
ワインを合わせるなら、辛口のスパークリングワインやシャルドネなど、コクのある白ワイン、軽めな赤ワインとも相性が良いでしょう♪
火であぶったり、焼いて溶かしても風味がアップしておいしさが増しますよ。