イタリア北西端のヴァレ・ダオスタ州は、山を越えるとフランス・スイスとも近い山岳地帯です。この一帯は「フォンティーナDOP」と呼ばれていて、この地で最も有名なチーズも『フォンティーナDOP』と名付けられています。13世紀ごろから作られていたと言われている歴史のあるチーズで、セミハードタイプに分類されますが、フランスやスイスの山岳地帯で、冬の保存食として作られた大型のハードチーズのような外見を持つ、まさに“山のチーズ”です。
『フォンティーナDOP』は、約3ヶ月ほどの熟成で出荷されますので、食感はやや柔らかめのセミハードタイプとなります。ウォッシュチーズのにように、表皮を塩水で洗いながら熟成させていることから、チーズ自体にもわずかにナッツのような香ばしい風味が加わっています。しかし、ウォッシュチーズのようなクセは無く、お子様からお年寄りまで、どなたにも食べやすいチーズだと言えるでしょう。
このチーズの原産地のヴァレ・ダオスタ州では“イタリア版フォンデュ”ともいえる「フォンデュータ」というお料理が有名です。これは『フォンティーナDOP』を牛乳で溶かして、さらにバターと卵黄を加えた、かなりこってりとしたチーズソースを作り、それをパンや野菜につけて食べるというもの。鍋の中のチーズソースにパンなどを浸して食べる一般的なチーズフォンデュとは逆の食べ方になります。『フォンティーナDOP』を使っていることで、いつものチーズフォンデュとは違った味わいも楽しめますので、ぜひスッキリとした白ワインとご一緒に召し上がってみてください。