スイスのベルレー修道院で誕生したといわれるチーズで、テットは「頭」モアンヌは「修道士」で、“修道士の頭”と言う意味の名前となります。かつて農民が、修道士の数だけこのチーズを献納していたことに由来していると言われています。表面を塩水で洗いながら、エピセアというモミの木の一種から作った板の上で熟成させていきますので、表皮はねっとりと湿っていて、かなり強い匂いが漂います。まるでウォッシュチーズのようです。
さて、このチーズ、食べ方にはちょっと特徴があって、実は、この『テット・ド・モワンヌ』には専用の“削り器”があるのです。それは「ジロール」という名前で、これにチーズをセットして、くるくるとハンドルを回転させます。こうすると、まるでひらひらと花びらのように削ることができるのです。花びらのように削って、皿に盛りつけ、さらに粗挽きのブラックペッパーを散らすと、パーティにもぴったりの華やかさです。
花びらのようにふわふわと削って食べると、コクのある濃厚な味わいがほどよくなり、舌の上でじんわりと溶けていく感じが特徴です。カットでもお楽しみ頂けますが、ぜひ薄く削ってその風味をお楽しみください。なお、『テット・ド・モワンヌ』はぜひ「ジロール」で削って召し上がっていただくのがオススメですが、代わりとして、スライサーで表面を薄く削っていただいてもよいでしょう。